2011年05月11日

春の山菜づくしのわが八ッ場

【5/11 その三】

【どちらも戴きものの、八ッ場のコゴミと新潟県の豪雪地帯のコゴミ。さて、どちらが八ッ場のものでしょうか?  ヒントは拙文中にあり】

....................................
 以下は、ある会報に連載中の拙文の転載です。この間の本欄での記述事項との重複はご寛容のほどを

   ーーー八ッ場 癒しの風俗詩 ーーー       
     第九回 災害復旧費にダム費を充当してみたら
 人が去り山野は崩されようとも、自然界の春は時を違わず、揺れ動く人間界の思惑には何らおかまいなしにめぐりきます。
しかし、昨今の八ッ場の春は、どことなく華やぎにかけるのは否めません。
 その一因には、春の喜びを待ちかねる人界の圧倒的な少なさにもよるのかも知れません。外部からの観光客の訪れは無論のこと、転出していく人々が後をたたず村落共同体の維持さえも覚束なくなった現実が作用しているようです。
 新緑の吾妻渓谷の国道沿いは例年ですと、車の渋滞と散策する人々によってもたらされる独特の喧騒感に充ち、観光地としての面目に足るそれなりのものがありましたが、今年の連休は、止まる車も少なく閑散としていたとか……
 最後まで残っていた滝見橋際の蕎麦屋さんも、ついに移転。コンクリートの礎石のみが残る今春は、とりわけヒンヤリとしたもの寂しさが漂っています。
 これで渓谷入口から川原湯温泉駅まで人家がなくなってしまいました。
 さらに新付替え国道が開通したために草津方面の車が素通りしてしまうことにもまた拍車をかけられ、これでは川原湯温泉はすたれてしまいかねません。
 ……けれど、この結末もまた、いかに国策に協力しての仕方なしの成り行きとはいえ、建設推進体制に呼応し連動してきた、水没地の選択に他なりません。
 
 さて通例、八ッ場の春は、大ぶりの黄緑色のフキノトウの芽吹きに始まり、瑞々しいことこの上なしの田ゼリが、水田の畔際に生えだしてきます。
 山野に一人静やカタクリが咲き出すとほどなく、春の山菜の王者とされるタラの芽が芽吹き、雑木林の中には一重の山吹きの花が楚々とした風情で咲き出します。周辺の山々は、急速に木々の新芽が萌えだし、緑の濃淡の色相の妙と点在する山桜の薄紅は、春の喜びの沸点にいざなってくれます。
 道々の若葉の上に「見て見て」とばかりにせり出すように垂れて咲く山吹の色が目を射るような強い色調となる頃には、奥山の川筋には天然ワサビの葉もツヤを増して、ひっそりと清々しい小さな白い花をつけます。春のほんの一時の食材として、花は天ぷら等に、葉ワサビは漬物などに珍重される味です。
 まもなく一帯は早くも春の最盛期を迎え、ワラビやコゴミの季節となり行きます。過日、採ったばかりというコゴミを頂戴。八ッ場のコゴミは、新潟の豪雪地帯が故郷という方から戴いたコゴミとは異なり柔らかく淡々としています。
 5月初旬、大きくなった田ゼリは味も大味になる上に、虫がつき出してしまうので、県内都市部では一口に「5月ゼリはバカが食う」との警鐘語が伝えられてますが、寒冷地の長野原町ではまだ食せます。でも五月半ば過ぎは田植え時。田ゼリは耕運機にかき回され、来春までの別れとなる運命に。で、数日前、最後のセリと心得て採集した次第です。

 もちろん、自然の摂理にのっとり季節を違えないとされる自然界にも、微妙な変化はあり、大規模工事にさらされ続けている八ッ場の山野には劇的な変化がもたらされ、まず弱い山野草は消滅。フキノトウ一つにしても昨年の自生場所に心弾ませて訪れると、コンクリートの下に消えてしまっていたりで……。  
 ましてや、未曾有の大震災に揺れ続けた今春は、心行くまで自然界に接するゆとりもなく、春の名残りに近づきつつある今頃になって遅まきながらのつかの間の、それもセカセカとした触れあいにならざるをえませんでした。

 ところで、治水・利水の大義名分を振りかざし、その地の自然になじみ一体化となって営々と築き上げてきた住民の生活権など、何のその的に建設され続けてきた数多くのダム群。
 本来は災害に備えてのはずであったのに、今般の3月11日の東日本大震災で福島県須賀川市の老朽化した藤沼ダムは、地震直後に決壊。8人の死者・行方不明者が出たのでした。事故の事実が地震直後にチラリと報道されただけで原発問題にかすんでましたが、昨今またクローズアップされ出しています。灌漑用の低いダムとの由ですが(高さ15m以上をダムと称す)、「これは、人災だ」との声があります。
 八ッ場ダム建設予定地上流の(ダム建設の為に造られたとされている)中和施設「品木ダム・湯の湖」には、今や大量のヒ素が堆積しているというのは周知のことです。もしも、ダム完成後に決壊でもすれば、大惨事を招きます。
 「温泉にヒ素はつきもの」で、そのまま白砂川→吾妻川→利根川と流れさせ、太平洋に注いでいれば問題はなかったのでした。さらに、大規模ダムは地震を誘発するとの専門家の意見もあり、栗駒山の北東域が震源だった3年前の岩手・宮城内陸地震の時にも、荒砥沢ダムとの関連性が指摘されてました。

 巨額の税金を費やして、無用というより先々危険極まりなく問題性のあるダムを進めるより、ここで全て凍結。安全性の再検討をと叫びたくなる所以です。
 加えて今や、焦眉の急的な国民的課題として災害復旧費の念出が急浮上中。
税や電気料金のアップよりも、とりあえず「2011年度ダム予算2400億円」等を充当して貰った方が、家計の切り盛りに追われている私たちにとってベターなのにと想われてならない、そんな繰り言がかすめる今年の春の一日です。
                   



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Posted by やんばちゃん at 09:51│Comments(4)八ッ場だより
この記事へのコメント
強酸性の死の川の方が砒素よりも害があるように思うんだけど?
強酸性の河川に戻すリスクについて素人でもわかるように説明してくれませんか?
Posted by ? at 2011年05月11日 22:11
以下をご覧下さい。

http://www.ustream.tv/recorded/13948939
http://www.ustream.tv/recorded/13985708
Posted by 杉山弘一 at 2011年05月12日 07:52
こんにちは!季節外れの台風襲来ですね。気候がおかしくなっても山菜たちはけなげですね。「冬も菜花の花が咲く」千葉では昔はコゴミ食べなかったけど、最近は山菜ブームで、けっこうな値段で売っています。ところで、ダムの予算を復興に当てるのって大賛成です!この60数年を見て来た長野原町の神様たちもそう思っているでしょう。
Posted by 小野町子 at 2011年05月12日 16:05
それで強酸性の河川に戻すことのリスクについて素人でもわかるように説明してくれませんか?
Posted by ? at 2011年05月12日 21:55
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    コメント(4)