2011年06月18日

これが管理型処分場と呼べるか? しかも大量のヒ素ありなのに

 
これが管理型処分場と呼べるか? しかも大量のヒ素ありなのに


 案内で、久しぶりに品木ダムに行きました。
 多くの皆さまがすでにご存じのことですが、吾妻川は強酸性で魚の棲息はもちろん、五寸釘が10日間程度で針金のようになってしまうため、コンクリートをも腐食しかねませんでした。
 したがって、八ッ場ダム建設は不可能として、一端は立ち消えとなったのでした。けれど、どうしてもダムを造りたい、なりふり構わず造りあげることが目的だった、どっかの筋の至上命令によって、何が何でもの意気ごみで石灰を投入する「中和」方法が考えだされたのでした。かくして、ダム建設が再燃した経過があります。以来、“死の川をよみがえらせた世紀の大発見”なる、石灰の投入を試み続けているわけです。

 年間維持費に約10億円。1965年12月の操業開始より、1日も休めない事業なのです。

 流れを追います。草津市内→湯川沿いの中和工場→湯の湖→A・B・Cの汚泥の捨て場(「土捨て場」とよばれている)

 最初の写真は、もうおなじみの場面ですが、温泉水交じりの流れる湯川に掛けられた、橋げたの管からミルク状の石灰ミルクが川面に注ぎ込むと、湯の湖に着く頃にはpH2→5程度に中和されていきます。
 水面のツートンカラーにご注目ください。
 これらの中和施設見学は、時間がかかるため、日帰りコースでは少しきついので思案のしどころなのです。が、やはり多くの皆さんに知ってもらいたい。「これを見ずしてどうする」的な役員さんの熱いご希望もあり、8月の本番の際にも品木ダムの中和の流れだけでも、ご案内することになりました。
 
これが管理型処分場と呼べるか? しかも大量のヒ素ありなのに

写真は最も新しいCの土捨て場です。写真右端の先は大沢川に面した斜面となっていて、排水溝を伝わって、ヒ素交じりの汚水はまた大沢川に流れる仕掛けですけれど……
 ここでは、汚泥にコンクリートの粉を混ぜる、「固化」という捨て方がされていて、化学反応式によれば、先々、3塩化ヒ素といって、ナポレオンを毒殺したと伝えられる猛毒ガスが発生しかねない危険性がせ指摘されています。
 品木ダム水質管理所によれば、その高さは周囲の木々の高さまで積み上げる予定だそうです。空恐ろしいですね。
 しかも、汚泥を積み上げ管理型とは名のみの野積みの堆積場なのが、お分かりになられることと思います。
 元県庁職員の後藤克己議員の証言によれば、後藤さんが担当時に許可申請がもちこまれたとのことで、その後、担当を離れた際に「0K」になってしまったとのことでした。
 
これが管理型処分場と呼べるか? しかも大量のヒ素ありなのに

ご覧ください。谷に向かった間に左右二筋の排水溝で、眼下の大沢川にそそぐ単純極まりない簡単な排水設備を。
 地中にしみ込まないための防水シートも何もなく、これが果たして、最終処分場と呼べましょうか?
ダムを造るためには、なんでもかんかんでも0Kにしてしまったことが明白に読み取れます。
 
 「中和を止めたら、吾妻川の魚が死んでしまうぞ!!」とのご意見もありますが、世界を震撼とさせるほどの猛毒のヒ素を蓄積してまで、水あまりの現在、およそ58年前の計画にそっての八ッ場ダムを造る必要があるでしょうか? 何も魚が住まなくてもよいではありませんか? 健康の方が、比較にならないほど重要ではないでしょうか。
 温泉にヒ素はつきものです。46年間の長きにわたり、品木ダムでせきとめず、そのまま流れさせ、太平洋に注がせていれば、こんな二次的被害を憂える必要もなかったのでした。
 
 本当に、原発問題と相似形ですね。どちらも国策という名のもとに行われた強引な国家権力です。
 ヒ素もまた、放射能汚染と同じく、土中に埋めるしかないものでしょうか。
 今般の原発事故の想定外の事故の教訓として、中和化による予測のたたない事故が起きる前に、対策を打たなくて良いものでしょうか?
 
 旧六合村の山の中で、エメラルドグリーンの湖といえば、聞こえはいいですが、訪れるたびに不気味さが漂います。
 かつて、旧日本軍が、中国で犯した細菌戦のための人体実験「七三一部隊」の戦慄を伴う、その犯罪。
 終戦後、身勝手にも中国の大地に置き去りにしたままの毒ガスによる後遺症に今なお、苦しまれ続けてこられた中国の方々の現実。ようやく、謝罪をこめ毒ガス類の後処理を日本が行うことになり、現在続行中です。
 もう、20年近くも前のことになりますがこの作家・森村誠一の小説でしか、その概要を知りえなかった恐るべき細菌戦部隊の実態を、全国的に伝える一大イベント「七三一部隊」展・前橋展を、たくさんの皆さんのお力添えのもとに、事務局長として奔走したことがありました。
 東京での文学関係の会合の後、たまたまお会いした知人の知人の、同実行委本部の方からの依頼で、2年間の準備期間を経ての開催でした。1993年8月の開催でしたから、全国的にも早い段階の開催でしたが、門外漢なのに熱にかられての行動でした。
 愚かしい戦争を絶対に繰り返してはならないとの突き動かされるよう想いで、何とか一人でも多くの方に知らせたいものとの想いのみでした。
 科学・化学の分野に極端に弱いゆえに、あの時のような焦燥感と肌寒さを覚えてなりません。  



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Posted by やんばちゃん at 22:09│Comments(2)八ッ場だより
この記事へのコメント
現在品木ダムによる中和を止めた場合に具体的にどのようなことになるのですか。
素人にもわかるように理論立てて教えていただきたいものですが。

現在のような中途半端な状態を続けさせてきた世代の方に説明を求めたいものです。
Posted by 正真正銘のオロカ者 at 2011年06月19日 20:43
数年来、と世界各地の探検家は最佳連盟を結んで、いっしょに自然な束縛を突破して、人類を地球のすべての隅に持ちます。極限の試練の勇者達を受けてをつけて征服して知らないで、彼らの精神はウブロが絶えず進歩的な動力を革新するのです。
Posted by 時計 at 2013年08月28日 15:04
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    コメント(2)