2012年08月16日

樹に八ッ場並みのマーカーありて




  八ッ場の地で、伐採される樹には、記しが付けられます。
 それは色ペンキによるものであったり、テープが蒔きつけられたりしますが、木立の中に入って、その記しをみつけると、シュンとするものです。
 ところが、この春頃、突然、写真のわが家のヒマラヤ杉の根元に赤いマーカーがつけられたのでした。枯れた竹が横に倒れているちょっと上です(左脇の写真は、全体)。
 で、八ッ場の「樹木の運命」の現実を知っている身には、心地よいものではなく、「誰が勝手にこんなこと」と怒りがわいたものでした。


 もちろん、「どうして」と詰問すると、家人のしわざではありませんでした。ここの場所の耳目もとは山林。祖父母たちが耕して、子供の頃は畑地にしてました。しかし、その後、手入れしないままのここ40年間ほどの間に、すっかり竹やぶに。長年、春のタケノコ採りに奔走、格闘してきたのでした。けれど、人さまにあげるに臆する細い細い真竹が、ようやく人なみの太さになりつつあった先年、伐採。ようやくここまで整地が進んできていたのでした。
 確かに、この土地の木々類の伐採の話はでてました。
 一程度になった木は伐採しなければならず、後日のことを想って、親族の悩みの一つとなってはいました。
 でも、親族中、独りで反対印を掲げてきました。
 子供の頃からこの辺りでは珍しく、小学校の庭しかなかったこの木が心密かに誇りだったのでした。
 同じくこの土地には、およそ百年は経ていても、一向にギンナンの実がならないイチョウの雄木があります。春さきに白い花粉が舞い、あたり一帯のギンナンに実をつけさせているのです。……役たたすながら、わが身に例えて、何やら親近感があり、かつて、つたない小説の中で、たとえにもちいたものでした。
 それだけに伐採はおしいのです。

 さすがに詳述はやめますが、お盆近くになって、不意に降ってわいたホッとな土地問題の過程で、赤ペンキを塗った、非常識な“犯人”は、ほぼ確定。
 それにしても、ご先祖代々、長年の愛着ある木々を伐採して、なじみのある庭土を二度と踏みしめることのできない、各地のダム建設地の方々の痛みは、いかばかりだったことでしょう。そして、現在進行形の八ッ場の方たちは……
  跡形も残らず、一瞬にして失わなければならなかった、原発事故の方にくらべればまだ、とはいえ。
  
 これくらいのことで切なくなってしまうことへの自戒を反芻しつつ、ご先祖の魂が里がえりする、お盆の送り火の日ゆえに、しみじみと思います。
  



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Posted by やんばちゃん at 12:26│Comments(0)八ッ場だより
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