2013年10月17日

ミステリー「哀しみの吾妻線」



 
 既にご存じの方も多いとは思いますが、おなじみの西村京太郎さんの「十津川警部シリーズ」、9/10付の新刊です。
 なんと、八ッ場ダムが題材となっています。月刊『小説NON』に2013年2月号~8月号まで掲載されたようです。
 民主党政権後の「ダム中止」を経て、ダム建設再開後の2012年時の八ツ場に材をとったミステリーで、県内の書店では平積みになっています。

 『哀しみの吾妻線』
 西村京太郎著 祥伝社刊 819円+税


 
 書店を訪れた際、山ずみになっている書籍の「吾妻線」の字面にひかれて購入されたという、ある研究者の方から、電話の際に教えられて、フィクションということを超えた思い入れで、夢中で読みました。
 で、やや拍子抜けの感もちょっぴりありましたけれど…… 

 建設再開以降の住民の「本当にダムは完成できるのだろうか」との不安感や感情がさりげなく挿入され、傍目には進まぬ工事風景など、昨今の「ダム本体工事決定」に至る約一ケ年前までの時間的空間を軸に、一見、結びつかなかった長野、静岡、東京での殺人事件が、八ッ場ダム現地でかつて暗躍した利権団体と、吾妻線沿線の住民による存続運動「吾妻線ファンクラブ」に関係ありとの展開となっています。

 連続殺人事件解明への全くのミステリーですが、モチーフの「核」となるのは、伝え聴いた事柄もちりばめられいて、この記述はたぶん、あの話が「核」となっているのでは? となると、出所は〇〇などと思いながら読了。
 取材を重ねられている旨の記事をどこかで目にしたような気もしていましたが、何をどこまでご存じなんだろうかと興味津々で、いつもは億劫で行きたがらない胃腸科での長い待ち時間に、今朝はそこで読もうとさっさとでかけ、寸暇をおしんでの、久々の読書でした。
 ともかく、丹念な取材に基づいたらしい資料の数々を生のままでは出されないのは、さすがです。
 根底には建設意義への問い直し的要素もありと読み取れたのは、願望から発する勝手読みでしょうか。

 ミステリィ仕立てという手法に、教えてくだされた方も、
  「こういう物語の中から、いかに吾妻渓谷が素晴らしいかなど、ダムの全体像が簡単に読めるから、高校生や多くの方に知ってもらえるのは、とっても良いことですね。正確なデーターや数値面をひたすら追って来た者として、感じることがありました」との弁。
 
 果たして、作家の想像力は、一つの武器となりうるでしょうか?
 思い出すのは、「膠着状態に陥った場合、新たなドリルが必要になる。想像力は大きな武器となり得るる」といった風な言葉群。

 逮捕された三人の犯人は、十津川警部に向かって、
 「本当のワルは、他にいますよ。どうして、そいつを捕まえないのですか?」
と文句を言った。
 「分かっている」
 「本当に分かっているんですか?」
 「だから、ーー略ーー小さな証拠を根気よく集めて、いつか、大河内を刑務所に送ってやる」

 無論、現実の八ッ場では、土地買収に関しての殺人事件は今も昔もありません。でも、国家的犯罪に手を貸し、乗じて旨みを吸ってきた者たちはいるのでは? 是非、あぶりだして欲しいものですけれど……

 



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Posted by やんばちゃん at 22:40│Comments(0)八ッ場だより
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