2010年10月19日

泥田の新田の収穫風景

 八ッ場の秋の採り入れも、おそらくこのFさん宅をもって、終止符をうたれたのではないでしょうか。以下は今月13日のことです。
 等価交換で下流域にも田を求めたFさん宅では、幾つかの地に田をお持ちで、地域ごとに実りの度に差があります。そして、しんがりは寒冷地、横壁の上方の木立ちのなかの水田です。
 泥田の新田の収穫風景 
 ここは夏でもヒンヤリ。自宅周辺の長年の美田とワサビ田が工事用地に採られたための代打として、もともと所有していた奥山の水田の上方の雑木林を開墾して、新たに水田とワサビ田施設を造りました。
 左写真の細道を抜けた脇にDさん宅の、水田二枚とワサビ田施設があります。

 一帯の木立ちの空間に、Fさん宅の水田が広がります。
泥田の新田の収穫風景

 ご覧ください。この泥田を。
 トラクターのわだちの後を。
 前にある方が田植え機の下敷きになってしまったと聞いてますが、田の土が安定するまでは、命がけの農作業でしょう。
 耕地整理後の田など、新しい田は膝近くまで泥につかってしまいます。わが家も昔、畑を田にしたばかりの時の経験があります。

 最新式の機械類を駆使して省力化を図っているFさん宅では、刈り取ったモミをそのまま軽トラから乾燥機に移せる近代設備の整った納屋が自宅裏にあります。
 が、この田には本当に手をやいているらしく、モミを収納しながら、「終わったよ」と、とっておきの笑顔でした。

 伺えば、奥さんのG子さんはまだ田んぼにいるというので、刈り取り風景には間に合わなかったけれど、木立ちの奥の田に駆けつけると、なんとG子さんが、コンバインの下に首を入れて這いつくばって、詰まった泥を手で書きだしている最中で、胸打たれました。
 
泥田の新田の収穫風景

 そう言えば、前々回訪れた時、自宅の洗い場がドロドロ状態でした。考えたら、この田の泥に似ていました。高圧ホースの方づけをしながら、「機械も車も泥だらけでヒデぇ目にあったよ、今日は」とおっしゃっていました。
 で、今年最後の出番となったコンバインの掃除を、Fさんがモミを運んでいる間の奥さんのG子さんの仕事として、泥をかきだしていられたのでしょう。
 車を止めてもコンバインの下から出てこられず、振り向くこともなさらずに作業の手休められませんでした。きっと、夫の車が戻ってきたと思われたのでしょう。
 それにしても、同性として身につまされる姿で、カメラを向けるのは何とも忍びなかったのでしたが…… 農作業の厳しさを伝える意味で、お許しを。

 畔道を歩くと、小さな沢沿いにアケビが一つ色づいてました。
 思わず、かつてのワサビ田の脇に群がっていたアケビの群落が蘇りました。Fさん宅のお孫さんの代になる頃には、あの大量のアケヒが実ることでしょうか。
 一帯の写真を採るのに畔道をひと廻りした後、あらためて「大変だねぇ、奥さん」と声をかけ、「手を休めないで」言い添えましたが、G子さんはちょっと、振り返り「そこに、きのこがいっぱい生えていて、黄色いのを昨日はいっぱい採ったんだけど、毒だがどうかわかる?」と問われるのです。なぜかというと、伐採した木から芽吹いたそうなので安心感があること。塊で芽吹いているので、毒きのこではないのではと思ったそうです。
 八ッ場にくらべれば、町場に住む私にわかるわけがなく、「ご近所や親せきの方に聞けないんですか」と返したが、いないのだとおっしゃる。
 子供の頃、雑木林を開墾して作った物置周辺で、伐採した切株から採れたいうシメジやナラ何とかというのを祖父母が採ってきて、その夜はオキリコミやうどんの汁にいれて、フウフウ言いながら家族で食べたあの感触が口元によみがえりました。
 現在のわが家でも、老化した木や伐採した木のアチコチからキクラゲは採れるのですが、それとても知人の夫に確認してもらって「キクラゲに間違いない」という確証を得ているのに、親族は嫌がって、私だけが食している次第なのです。それほど、キノコ類はむずかしいもので怖さがあります。

 奥さんが、作業しながら指さす木立のなかに足を踏み入れてみました。
泥田の新田の収穫風景泥田の新田の収穫風景
 





 茂みの中には、こんなきのこ類が、いっぱい。
 G子さんが前日に、ナメコに似ているからと、塊ごとたくさん採ったというのは次のキノコ。でも、ナメコではないのは明らか。
 山里に住むFさん夫妻が知らないというのをむしろいぶかしく感じながら、帰途、長野原町のハンターなので山のことに詳しいHさんに見てもらいました。「クリタケに似ているけれど、わかんねぇなぁ」とおっしゃられました。
 泥田の新田の収穫風景そして、翌日、我が町に住む、春夏秋冬にわたり山菜採りが大好きグループのお一人のIさん宅に、車の修理報告を兼ねて伺い、聞こうと思いたった次第です。
 以前、毒とは思えない大振りの見事なキノコを持ち込んだ方がいて、Iさんと仲間の方たちが、図鑑片手に調べていたところに出くわしたことがあるのです。このIさんは、何年か前毒キノコにあたって、半死に一生に得た体験談の持主なのでした。しかも二度もとの由。結局、この時の結論も「危うきはたべず」で、持ちこんだご老人はしごく残念そうでしたっけ。
 夕方なのであいにく仕事終了でルス。わかる処にキノコをおいてきて、夜、電話してみますと、即座に「毒キノコだと思うよ。図鑑もみたけれど、止めた方がいいよ。クリタケはもっと紅い色をしているよ」とおっしゃられたのでした。
 で、キノコの本場の八ッ場に、「奥さん、ダメらしいよ」と告げた次第。 「大丈夫だよ。採ってはみたけれど食べてないから」との返事でした。
 今年は、きのこが豊作と伝えられていますが、くれぐれも毒きのこにはご注意を。


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Posted by やんばちゃん at 23:59│Comments(0)八ッ場だより
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