2011年03月27日

その名も哀し、川原湯温泉

 3/27 その一
その名も哀し、川原湯温泉


 久々に訪れた、カザハナ舞う八ツ場でした。
 何ともいえない寂しさをかぎとりました。それは人家が次々と消え、土台のみ残る褐色の風景の面積が増していくからです。人も寂しければ、自然界もまた、寂しいのでしょう。雑木の一つにも命があものと思います。

 結局、なにやかやと例によって出がけに手間取って、八ッ場入りしたのは午後になってしまってました。急ぎの打ち合わせの用件を済まし、駆け付けた連絡をくれたA君宅は、(後述しますが)既に最終の後片付けに入ってました。

 「それではまた、どこかでね」と挨拶をかわし辞しかけた背にむかって、A君が「川原湯じゃ、高田屋さんが解体に入りましたよ」と教えてくれました。
 で、写真は次に訪れた川原湯温泉街の高田屋さんの解体風景です。正面の屋号も心なしゆがんでました。この日は作業はお休みでした。ここに川原湯の代表的な三つの老舗旅館がありました。 
 前回訪れた時は、写真手前の「敬業館みよしや」さんの解体仕上げ段階でした。1月20日に訪れた頃が、解体のごく初期段階でした。訪れるたびに進んでしまって、無残でなりませんでした。
 前々回は業者さんにお断りして、「立ち入り禁止」の中に入らせて戴いて、浴槽のみでしたが、写真に撮らせて戴きました。
 「ここは有名だっんかい」」と問われて、「ええ、若山牧水なとが泊まって」と概要をお伝えしたものでした。
 地上3階建のコンクリート壁がとり払われたので、王湯から続く各旅館の玄関口と反対側の斜面からの景観を初めて目にいたしました王湯は表からの見た目よりも、斜面にたっているので、地下に二階建て風に伸びていて結構大きく、その大きさに、それが王湯なのだとは、一瞬わからず、露天風呂への渡り廊下をみて理解できたほどでした。
 駅を背にして右側の家並み、吾妻川に面する川原湯温泉の旅館はほとんどがこのような造りなのでした。位置的に当然のことでしたが、木立ちごしに吾妻川、JR線がみえ、対岸の川原畑ちくが迫ってみえたものでした。
  
 高田屋さんの解体の後は、隣接する、川原湯温泉最大手で100人収容できた柏屋さんの解体にはいるようです。
 湯かけ祭りの朝、柏さんの大旦那が、「はぁ、川原湯はぶっつぶれたい」とだみ声ではきすてるように語ってくださったのが、切なく耳元によみがえります。代替地に移ったとて、先々の不安はいっぱい横たわっています。
 「でも、皆さん、代替地での心機一転に燃えていらっしゃるのですから」と思わず、添えますと「燃えているもんなんか、いやねぇよ」と去ってしまわれまました。
 この日、柏屋さんの庭先をすすんだ「立ち入り禁止」のロープ゜の前に、以前、本欄でも写真でご紹介した黒い板に「敬業館みよしや」と独特の書体で記された看板板が、ひきちぎられるようにとりはずされ、ゴミの魔の上に置かれていました。あたかも、柏さんのおっしゃった、川原湯温泉の終焉をものがたり、老舗旅館中の旅館の末路の哀れさをよりかもしてしまっていました。

 これも、原発と同じく、「国策」の犠牲です。
 およそ85年前、川原湯温泉に魅せられて記した牧水の「この渓の水が枯れたなら、悲惨なことに」との予言が、静かな静かに的中しつつあります。
 で、本日の表題は、「牧水さん、あなたの予言通りになってしまいましたね。これもまた人災ですよね」と心中、思いつつ、牧水の暮坂峠の碑にちなんでみた次第です。
 ともかく、短い時間とどまっただけなのに、オバさんの胸にはおさまりきれない変化への寂寥感と報告事項を抱きつつ、小雪の舞う八ッ場から帰ってきました。

 ※まだまだ記したいこと、いっぱいあるのですが、本日は区の総会。会計監査報告があるので送れるわけには行きませんので…… 牧水の言葉など原典通りではないことをお断りしておきます。
 



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Posted by やんばちゃん at 08:55│Comments(0)八ッ場だより
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