2009年12月05日

しばし、心の旅路に出かけます

 
   --昨日の八ッ場の続きを記すーーー
 踏み入れるたびに、新たな工事が始まっているわが八ッ場の地。
 記録にとっておかなければ、数日後には変わってしまっている。
 中止となった今も、あらたに転出する家がまだある。取り壊し現場に出くわすとジグザグ線のような痛みの烈風が吹く。そこに至るまでには、多くの時とたくさんの葛藤の積み重ねがあったろうに……。
 この日も解体現場に川原湯で横壁で、お目にかかった。

 この日、八ッ場の神様のご配慮というか、いく先々で、未知の方たちとのうれしい出会いがあった。そして、取材陣なら大喜びするような話題の糸口があった。
 ある代替え地の墓地でお会いしたのは、下流に住む移転関係者だった。純粋の移転組ではないので、関係者とする。
 この方からは補償関係の具体的なことを教えて頂けた。
 
 夕暮れ時にお訪ねして、拙著をお渡ししたお宅では、しきりに「ゆっくり、いかがですか」と言ってくださった。しかし、今度は翌日の日程がちらつき、早めに帰りたかったので遠慮した。毎回お訪ねするお宅ではなかったが、戸口まで出てこられて再び「今度、ゆっくり話にきてくださいよ」とおっしゃる。
 家に帰ってから、そうかと気がついた。私には縁のない、比較的品の良いご夫婦ならではの、世辞的なあいさつ語と解釈してしまっていたけれど、もしかしたら私ごときではあるが、何か部外者に話してみたいことをお持ちだったのではなかったかと。
 今度、本当に時間をつくってお邪魔してみようかなと。
 この家の奥さんは何事にも気遣いのある方で、いつぞや大振りの見事な客茶碗にたっぷりの湯茶を注いでくださった上に、手作りの茶菓を添えてくださった。いわゆる賢婦人の誉れの高さに、そちらへの縁がなく身が引ける思いがある。敷居が高いものがあるにはあるが、今度はその垣根を取り払ってお言葉に甘えよう。
 
 他方、「もうダムの話はしないでよ」という、親しく出入りさせてもらっているご老人もいる。
 晩年の母も叔母たちも「嫌な話は聞かすなよ。はぁ、たくさん」と言った言葉に似通うものがある。でも、無神経な私はダム問題に夢中なあまり、性懲りなく、事あるごとにくりだすのだが……、
 これまた、年よりいじめになるかもしれない。

 ヒトの心が信じられなくなる夜更け、私もいささかダム問題に食傷気味。
 しばし離れて、心の旅路にでかけてみようか。





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Posted by やんばちゃん at 00:57│Comments(0)八ッ場だより
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