2010年03月11日

“造っては壊し”の負の連続面

 本日は姉のちっちゃな家の上棟式。
 地続きの実家の隣の敷地に建つことになった建築を依頼した大工は同級生のT君。通例は、名前に「ちゃん」をつけ〇〇ちゃんなのだが、T君は苗字で呼んできた。
 でも、彼の仕事中は「棟梁」と呼ぶことにしている。
 というのは、八ッ場でお世話になっている、(順番で行くと)Sさんによる、「いくら親しい関係でもな、場所をわきまえて役職で呼ぶもんだよ」とのご示唆にもとづくもの。役職のランクにこだわる親の世代のこの方は、まるで息子や嫁に注意するごとく、かなり執拗な部類に入るのだが…… 
 とりわけ、合併前の町での議員になった頃はうるさかった。ために、「呼称は体裁じゃない」と考える部類だが、町職員の約10分の1をしめる、わが同級生たちに対しても、〇〇係長、〇〇課長、地元では〇〇区長と呼称する癖がおのづと身に(?口に)ついてしまった。
 必然的にT君に対しても、最初から「棟梁」となった次第。それまでは「あのさ、T君」と気軽に声かけていたのだから、めんくらったかも知れないが、職人陣をしきる彼の立場もある。小学校の昔から男性を男性とも思わず、むしろ優位にたった口ばかりまき散らし続けた生意気な女に「君」づけで呼ばれたら、確かに彼もいい気はしないだろう。
 
 さて、小ぶりながら木材建築のこの家は、姉の老後を守り、先々、この日、懸命にお手伝いしてくれていた大学生の姪にも何らかの関係性を持って、木材の寿命のつきる時まで雨露をしのぎ続けさせてくれるだろう。
 T君に建築を頼みに行くと、「俺の造る家は、今風のと違って不細工なんだよ。それでよければ」とのこと。しばらく注文がなく、買いためた材料も倉庫に眠っていて、無聊をかこっていたという。確かに派手で小粋な新建材を駆使した家に比べると見栄えはせず、人件費が高いから、相場に比べて高い。遠方に住む姉に弟とともにまかされたとはいえ、格安の住宅チラシを見ては、選択を間違えたかとから思いにかられた。
 
 ところがである。
 八ッ場ダムにしろ道路にしろ昨日の空港にしろ、巨大コンクリ―ト建造物は、壊すのには造るよりも倍額の経費を要する上に、おいそれと土に還せないのは自明の理。
 あれほど、騒がれた長良川河口堰問題の打開策として、市民運動が「長良川河口堰のゲートの試験開放を求める要望書」を提出したとのニュースを目にして実感する、ささやかな上棟式の夜だ。
 諫早湾の締切問題の愚も浮かぶ。
 そんな中、2年後などといわずに荒瀬ダムのすみやかな撤去問題の解決をひたすら願う。
 
 造る費用も壊す経費も、すべて国民の負担なのだ。
 数時間前に、1人っ子の姪に「今に、大変だね。この家の管理はもちろん、固定資産税ひとつでも、また〇〇ちゃんの負担が増えて。一人じゃ大変だね。お給料でやっていけるかね」と、言ったばかりなのである。(少なくとも、未だ両親の荷物に囲まれている、本来の実家に居座っている私は、せめて生前に不用品の山を片づけておかねばと自戒する次第)。
 さらに、国の莫大な借金が彼女たちの未来には覆いかぶさっている。
 
 為にも、前政権党に戻って欲しくない。いろいろな難点や確かに幾つかの瑕疵はあるが、何としても現政権党に頑張ってもらって、これ以上、新たな大規模開発はいらない。 
 前政権にべったりの地方議員の実態を観てきた、短期間ながら異端の地方議員だった者には、あの完成祝賀会一つでも腹だたしいのだ。


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Posted by やんばちゃん at 23:50│Comments(0)八ッ場だより
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