2009年06月11日

またもの約束反故に、「青写真」練り直し迫られる

 去る6/4付けの朝日新聞群馬版の記事を転載します。
 水没地に対し、国と県はこの間、数々の「約束不履行」を行ってきました。
 甘い条件をぶら下げ、(一部の有力者の働きかけが奏を効し)、住民が納得して合意にたっすると、あたかも希望に基づいた総意のごとくに作用させる、常套手段。
 ところが、いよいよその約束事が現実化してくると、いとも簡単に「反故」同然の扱いが繰り返されてきたのです。けれど、すでに数段階も上の状況に押し上げられてしまった水没民にとっては、後戻りは出来ず、異議を声高に申し立てできる方は皆無に近かったのです。
 そして、またしても昨年度末、ダム完成後(※建設反対の立場ですので、想定したくはないのですが)の諸施設の運営は、「公社」を設立して行うと住民に安心感を与えて来たことがくつがえされ、運営は現地まかせ。しかも3割もカットされた基金は、維持管理費には使えないことがわかったのでした。しかも、下流都県が難色を示し続けていたことなどは、秘されてきたのです。
 今回、まとめられた記事を読んで、その時、語ってくださったある水没地の方の落胆と憤りの声が蘇ります。もはや、破れかぶれの口調でした。

 この発表の行われたちょっと前の本年早々、長野原町行政との話し合いの席で、思わず「皆さん、この間の約束不履行にもっと怒るべきですよ」と申してしまいました。顕著な例として、「公簿面積」問題をあげました。そして、、「たとえば完成後に町に入る「国有資産等所在市町村交付金」。これは最後まで額は確定できないということですが、その額だって、皆さんが聞いてきた額が果たして丸々もらえるか分かりませんよ。なお、私たち市民が試算した額は皆さんが皮算用している額よりも少ないです」とお伝えしましたが、執行部は大きなお世話的な雰囲気でした。
 疲労困憊の果てにか、それともあまたある変更に慣れてしまったのか、もはや怒ることもせず、ひたすらお上を信じている様子でしたが、あのすぐ後で、今後の生活再建策の根幹を揺るがすペテン的行為が待ち受けていたのでした。
 そして、一部の(今はごく少数となってしまった)ダム建設懐疑派の方々、先々を見通しての意見や憂いごとを言う、その声をチカラでかき消したのも、また同じ町民であったという構図の中で、もたらされた結果論ともいえなくはありません。
 
 前日の3日にも、八ッ場に行ってきました。
 「こんな処も」と思う場所も新たな工事現場と化していて、胸つかれます。
 昨今は訪れるたびに辛いものが走ります。

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【2009年6月4日(木) 朝日新聞群馬版トップ カラー写真あり】
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000000906040003
八ツ場ダム生活再建事業「青写真」練り直し

(オプション):工事関係の車両が行き交う代替地の造成現場。写真左後方に川原湯の温泉街が見える=長野原町川原畑

 国が6年後の完成を目指して建設を進めている八ツ場ダム(長野原町)をめぐり、いまになって地元は将来の「青写真」の練り直しを迫られている。生活再建事業の原資となるはずだった「利根川・荒川水源地域対策基金」の3割カットと、「施設の維持管理費には使わせない」などという条件が明らかになったためだ。2日の県議会一般質問で、県は生活再建に改めて太鼓判を押してみせたものの、住民は焦りを募らせている。(菅野雄介)
    
      頼みの基金減額 使い道に制限も
 「約束と違う」「基金を新施設の運営や維持管理に充てることができないのは困る」――。
 水源地域対策基金の3割削減などについて県が今年2月から3月にかけて行った地元説明会。ダム湖周辺での生活再建に将来を託した住民から不満の声が上がった。県は、基金を使った事業について昨夏に見直し案を地元に説明したが、事業費には触れていなかった。
 この事業を巡っては、観光会館などのハコモノ建設について、基金へ負担金を出している下流都県側が当初から難色を示し、事業案全体には合意していなかった経緯がある。合意に至らないまま十数年が経過、下流都県側には全体像が見えずに出費がかさむことへの警戒感があった。
 県が見直しに動いたのは06年度から。社会情勢の変化への対応が理由だった。2年間で住民の要望をまとめ直し、エクササイズセンターを目玉にした「ダイエットバレー」構想に改めるなどの手を加えた。
 下流側と昨年末に合意したとして、178億円という事業費の大枠と「維持管理費には使わない」などの注文がついたことを県が長野原町議会や地元住民に明かしたのは、やっと今年に入ってからだった。
 「そもそも下流都県と合意していないとは説明されていなかった」。説明会で住民はぼやいた。

     29年前の「未来図」 更にかすむ可能性
 現在の生活再建事業の骨格がつくられたのは29年前。国と地元の仲介役を買って出た県が80年に案を示した。ダム湖周辺に国道や県道を整備し、新しい温泉街や観光会館、住宅街、広場などが並ぶ未来図を描いてみせた。
 「県の提案を機に、住民はダム建設を前提に将来設計を考えるようになった」と元住民は振り返る。85年、県の生活再建案に町の要望を加えた覚書が交わされ、52年以来抵抗を続けてきた地元はダム建設を容認した。
 国土交通省などによると、これまで地元の生活再建には、国内最高額となるダム建設事業費4600億円のうち約27%の1236億円と、水源地域整備事業費の997億円、水源地域対策基金から事業費249億円があてられることになっていた。総額は2500億円に迫る。
 建設事業費の補償分は、道路や小中学校、家屋、田畑などの移転向け。整備事業は、新たに造成する代替地への上下水道、県道、福祉施設の建設や、国道拡幅などが中心だ。基金は、これらの対象とならない観光関連施設などの整備に充て、ダム湖を中心とした一大観光地へ飛躍する夢の実現に一役買うと地元では受け止められてきた。
 基金事業の規模縮小は、四半世紀前の未来図を更にかすませることになるが、住民の不満は大きな声にはなっていない。具体案をまとめるための「まちづくり検討部会」の議論が粛々と進む。
 地元のある地区のダム対策委員長は「時間がたっており、減額はやむを得ないところがある。むしろ、今の政治状況の中で、政権や下流都県の知事が代わり、さらに額が減るのが心配だ」と話す。
 「いまさらダム抜きの生活再建は考えられない」という地元にとって、財政難や水余りを背景にした「脱ダム」の流れと政権交代によるダム見直しが現実味を帯びる現状への懸念の方が強くなっている。




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Posted by やんばちゃん at 23:28│Comments(0)紹介
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